研究概要 |
5ー8週令のゴールデンハムスター雄より, コラゲナーゼ法で膵ランゲンルハンス島(ラ島)を分離し凍結保存を試みた. 凍結法は分離後, 3日間の培養を行ったラ島を15%Me_2SO及び10%牛血清を含むHanks′液内に収容, programmableーfreezerにて25℃/minの冷却速度で-70℃まで冷却, その後-196℃液体窒素内に2週間保存するものである. 解凍は37℃温浴槽内で急速に行い, その後さらに, 培養を付加した. 凍結保存ラ島のviabiltyは 1)グルコース負荷によるインスリン分泌能および, 含有量, 2)蛍光分光度計によるラ島細胞内DNA含有量, 3)オートラジオグラフィーを用いたラ島細胞のDNA複製能(in vitro), 4)糖尿ハムスターへの移植効果より判断した. まず, 凍結ラ島の形態を実体顕微鏡下および組織学的に検討するとほぼ非凍結倍養ラ島(対照)と相違ない形態であり, 良好に保存されたと思われた. インスリン分泌能は基礎分泌では対照とほぼ同等であり, グルコース刺激を300mg/dlにするとそれぞれ基礎分泌の3倍以上の増加をみた. DNA含有量は対照群, 凍結群はそれぞれ0.588±0.075, 0.465±0.067ng/10 isletsであり, 凍結群で約20%の減少がみられた. インスリン含有量でも同様の傾向であった. しかしラ島細胞あたりのそれは対照群とほぼ同様の値であり, 以上より凍結ー解凍過程で若干のラ島細胞が障害を被ると推察した. 一方, DNA複製能をlabelling indexでみると両群とも約2%であり, 凍結後も再生能は保持されていた. 腎被膜下に凍結ラ島1000個を移植しその効果を近交系間でみると, 移植直後に8匹全例の血糖値は正常化し, 尿量の減少, 体重の増加をみた. 次に, 新生児ハムスター膵よりラ島分離を試みた. 膵摘出後, 細切しmildな条件下でコラゲナーゼを作用させ, 更に培養を付加することにより, 純粋なラ島分離が可能であった. 現在, labelling indexよりの再生能および, 生物学的機能について検討を行っている.
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