研究分担者 |
大木 繁男 横浜市立大学, 医学部第2外科, 助手 (40160436)
杉山 貢 横浜市立大学, 医学部第2外科, 講師 (60046084)
西山 潔 横浜市立大学, 医学部第2外科, 講師 (60106325)
福島 恒男 横浜市立大学, 医学部第2外科, 助教授 (00046070)
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研究概要 |
直腸癌手術の根治性を高めるために行なわれるリンパ節拡大郭清術は骨盤内自律神経を損傷して排尿障害及び男性性機能障害を発生させる。本研究では直腸癌手術の根治性を損なうことなく骨盤内自律神経を温存して機能障害をできるだけ少なくするという手術を開発することが目的の1つである。われわれは骨盤内自律神経すなわち下腹神経,骨盤内臓神経,骨盤神経叢を温存して直腸癌を切除する手術の詳細を開発して報告した。この方法による手術を133例に行なった。これらの症例のうち23例にDISAウロシステムを用いて尿流力学的検査すなわち膀胱内圧測定,尿道内圧測定,尿流測定を行なった。その結果自律神経温存手術では最小尿意は144±51.9ml、最大尿意295.8±101.6ml、最大意識圧58.3±34.9cm【H_2】O、最大尿道閉鎮圧84.7±51.1cm【H_2】O、排尿量277.4±97.3ml、残尿量20.6±24.5ml、残尿率8.5±10.0ml、最大尿流率16.6±6.9ml/sec、平均尿流率7.9±4.2ml/sec、尿流時間48.6±36.5secであり正常人と変わらなかった。次に自律神経温存術症例と拡大郭清例を累積4年生存率で比較するとそれぞれ71.0%(n=133)、64.2%(n=195)であった。これを深達度別に比較するとそれぞれpm80.0%96.4%,SS【a_1】76.6%,70.6%,S【a_2】56.9%,55.3%であった。またリンパ節転移から比較するとn(-)78.9%,81.7%,【n_1】(+)56.1%,61.6%,【n_2】(+)65.0%,43.3%であった。このことにより神経温存術の適応はリンパ節転移のない症例と考えられる。リンパ節転移のある直腸癌症例については側方リンパ節郭清を十分に行なったうえ第4前仙骨孔から出現する骨盤内臓神経のみを温存する手術を開発した。この手術はこれまで15例に行ないこれらの尿流力学的検査を行なったところ良い成積であった。以上の研究やさらに術後男性性機能検査についてもさらに詳細に検討を続けている。
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