研究概要 |
胆道鏡下砕石術に用いる電気水中衝撃波発生装置のより安全な利用を目的とした, 基礎実験を行なった. 現在使用されている装置は本来泌尿器科用として開発されたもので, 胆道系で用いる場合の基礎的検討は充分とはいえない. そこで我々は物理的検討及び組織学的検討を行なった. 1.シュリーレン写真を用いて, 発生した衝撃波を視覚的にとらえ, 金属や組織での通過や反射を実験的に確認した. 2.組織損傷の実験モデルを作製し, 放電電極による組織損傷に一定の方向性があることを初めて明らかにした. 又損傷の程度は, 電極先端との距離により大きく異なることも明らかにした. 3.水中放電で発生した圧力を, センサーを用いて定量化した. この結果我々の用いた装置では, 電極先端部で約100電圧程度の圧力が発生し, そこから5mmはなれると1/2以下に急激に減衰することを確認した. 4.圧力センサーによる定量化で得られた結果と, 組織損傷モデルで得られた結果を比較検討し, 同様の方向性が存在するのを確認した. 5.放電電極により発生する圧力の恒常性を検討し, 同一条件でも放電毎に圧力がわずかながら異なり, 時には平均値の2倍以上の著明な圧力が発生することを明らかとした. 6.現在より耐久性のすぐれた銀・タングステンを先端に用いた電極を製作し, 再度物理的, 組織学的検討を加えている. 今後は基本的特性, 生体組織への影響等を基に, 電気水中衝撃波による, 胆石破砕術が内視鏡下に安全かつ効率よく使用し得るように, さらに広く一般に普及し得るように努めたい.
|