研究課題/領域番号 |
61480290
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松波 己 北海道大学, 医学部, 助手 (70142726)
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研究分担者 |
佐久間 まこと , 医学部附属病院, 助手 (70170636)
安田 慶秀 , 医学部附属病院, 助教授 (60125359)
橋本 正人 , 医学部, 助教授 (70002269)
田辺 達三 , 医学部, 教授 (50000956)
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キーワード | 大動脈遮断 / 脊髄虚血 / 対麻痺 / 大動脈瘤 / 脊髄誘発電位 |
研究概要 |
大動脈手術時には、大動脈遮断に伴う脊髄虚血により対麻痺が発生することがある。この予防のため脊髄機能のモニターとして脊髄誘発電位に着目し実験的,臨床的検討を行った。 〈実験的検討〉1.対象と方法:成犬23頭を用い、第1腰椎の硬膜外に刺激電極、第4.5胸椎々間円板に感電極をおき、Medelec社製MS-91を用いて脊髄誘発電位を導出した。左鎖骨下動脈分岐直下で大動脈を遮断し、導出波形の変化を分析した。波形の消失したうちの1頭で肋間動脈の選択的灌流を行い波形変化を検討した。 2.結果:導出波形は3型に分類できた。Type【I】(8頭)は、大動脈遮断後、波高は低下消失し、Type【II】(10頭)は波形変化無く、Type【III】(5頭)は一過性に波高が低下し大動脈遮断中に再上昇を認めた。Type【I】では死亡例を除く7頭中5頭に対麻痺を認め、Type【II】では麻痺発生は無く、Type【III】では5頭中1頭に対麻痺が発生した。Type【I】のうち1頭で波高低下後、肋間動脈を選択的に灌流し波高が回復することを確認した。 〈臨床的検討〉1.対象と方法:胸部を含む大動脈瘤12例、大動脈縮窄症1例で、術中脊髄誘発電位を導出した。第1腰椎、第7頚椎付近の硬膜外に刺激電極、感電極をそれぞれ留置し、MS-91を用いて波形を得た。Type【I】2例、Type【II】10例、Type【III】1例であった。Type【I】のいずれも一時バイパスの流量が不足しておりこれを改善することにより波高は回復し、対麻痺発生は一例も無かった。 〈考案〉脊髄誘発電位の導出では安定した波形が得られ、大動脈遮断時の脊髄虚血のモニターとして有用だった。今後はこれを指標として、対麻痺発生の予防手段の確立を図る。
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