肺癌の3つの組織型すなわち腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌よりハイブリドーマによって樹立した3種の肺癌特異モノクロナール抗体(5C7、5E81F10)を用いて免疫組織化学染色を行うと共にそのCross Reactionについても検討した。方法はPAP法を用い正常肺組織のほか、各組織型を呈した肺癌57例をFrozen sectionにて作成した。原発巣より得られた40例と転巣から得られた17例について、各モノ70ナール抗体の陽性率の差についてみてみたが、いずれのMoAbも両者間に差がみられず、転移巣においても有意にあつまりうることを示した。各組織型に特異的であるか否かについて腺癌21例、扁平上皮癌17例、大細胞癌16例の54例でそのintensityなどについてしらべた所、5C7は腺癌の分化型では93%と高率に陽性を示す反面、扁平上皮癌や大細胞癌で約半数に陽性を示し、正常肺組織でも肺胞マクロファージャ肺胞B型細胞に強く陽性を示した。5E8は分化した扁平上皮癌では92%と高率に陽性のほか、全扁平上皮癌でも82%でその特異性のなかではもっともすぐれたMoAbと思われた。正常肺組織とのcross reactionとして細気管支上皮と反応する如くであった。1F10は大細胞癌の81%に反応をする反面、全く反応をしめさない細胞もみられ、この組織型におけるheterogeneityを強く示唆するものであった。正常肺組織中肺胞のB型細胞と反応をおこしており、これら3種のMoAbはOrgan specificな面をみせた。これら3種のMoAbを37片の他の種類の腫瘍とも反応させCross reactionについてみたが、いずれも肉腫とは全く反応をしめさず、同一組織型の他の臓器癌と弱い反応を示すことが判明された。これらMoAbを抗癌剤と結合させたリポゾーム結合ADRを作成中であり、これの使用は次年度となる。
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