研究概要 |
肺癌外科治療に合併して行なう治療法のうち, もっとも有効と考えられる方法はHybridomaによって得られた人肺癌に対するモノクローナル抗体(MOAB)を確立し, それに各種の抗癌剤やトキシンを結合させたり, 又はRIと結合させて注入するいわゆるミサイル療法を行うことであろうと考えた. その目的のため以下の事を行なった. 1)効果の高い肺癌関連MOABの作成. 2)人肺癌症例やその他の悪性腫瘍との交互反応をしらべると共に, 正常臓器へのこれらMOABの取組みについて免疫組織化学染色を行い, 局在性を追求する. 3)人肺癌移植ヌードマウスを作成し, それにI^<125>を結合させたMOABを注入しTargetへの取込みや他の臓器への局在についてオートラジオグラフィーなどで調べる. 4)有効なMOABの決定と薬剤との結合を行い効果を調べた. 研究目的の1)と2)は各種のNon-Small Cell Lung Cancerより樹立させた3種類のMOABを用いて, 肺癌における局在と特異性の検索および他の腫瘍との交互反応, 正常肺組織との交互や腎, 肝など正常他臓器への局在性をきわめるためPAP法による免疫組織化学染色を行なった. その結果我々の樹立したMOABは病理診断や癌局在そのものを病理上決定するためには有用であったが, Organ Specificityが強く, そのため正常肺への取込みが多いことなどからミサイル療法としては不適切と考えられた. 次いで2型糖鎖抗原であるLEX-τ抗原に対するMOABを用いて, 同様の反応を行なった結果, 肺腺癌に特異的に強い反応性を示すことが判明すると共に, その陽性率が100%であり, 又正常肺組織とのcross reactionの検索では気管支腺のみに反応したため3)の実験としてあらかじめ作成した人肺腺癌移植nude miceにこのMOABをI^<125>と結合させて注入し, これの全身切片を作成してオートラジオグラフィーなどで検討の結果有用性が見出された. 現在このMOABを弾頭とするADR結合リポゾームを作成中である.
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