研究課題/領域番号 |
61480297
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
平 明 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30041289)
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研究分担者 |
湯田 敏行 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (40158340)
下川 新二 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (40170998)
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キーワード | 心臓リンパ / 虚血領域 / 梗塞領域 / ヒアルロニダーゼ / リンパうっ滞 |
研究概要 |
心臓リンパの動態は心臓の病態生理に深くかかわる。心臓リンパを積極的に排除することで虚血による心筋障害を減少させうるか否かを検討した。実験ではヒアルロニダーゼを全身投与し、組織間隙の透過性を増強させ心臓リンパの移送を積極的に促進させた。冠動脈の閉塞で梗塞をきたすのは虚血領域の中心部である。すなわち梗塞領域(I:infarction area)の周囲には可逆性の虚血領域(R:risk area)が存在する。ヒアルロニダーゼの使用、非使用によるI/Rの比率を冠動脈を4時間閉塞させて検討した。R領域は閉塞冠動脈にメチレンブルーを注入して決定しI領域はTTC染色で染色されない部分としてプランメトリーで計測した。その結果I/Rは使用群で9.4±4.9(SE)%。非使用群で44.1±1.1%と有意に使用群で小さかった(P<0.01)。リンパ流量は使用群で有意に増加した(P<0.05)。これらの結果は心臓リンパのうっ滞が梗塞の拡大に関与することを示す。次いで人為的な心臓リンパのうっ滞をリンパ管を結紮して作成し、同様に冠動脈を閉塞させてI/Rがどうなるかを検討した。Rが左室重量に占める割合はリンパうっ滞の無いもので15.96±1.13%、あるもので16.65±2.85%で差はなかったがI/Rは前者で0.23±0.05、後者で0.64±0.1と有意差をもってリンパうっ滞のあるもので大きかった(P<0.01)。すなわちR領域の拡がりには差がないが、I領域はリンパうっ滞のあるもので有意に広くなることが判明した。これらの結果は心臓リンパのうっ滞が心筋梗塞の発生に密接に関連を有することを示すもので治療にも結びつき得る成果といえる。
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