研究分担者 |
梅津 光生 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (90132927)
岩田 博夫 国立循環器病センター研究所, 実験開発治療部, 研究員 (30160120)
松田 武久 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 部長 (60142189)
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00142183)
阿久津 哲造 国立循環器病センター研究所, 副所長 (40150221)
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研究概要 |
〔研究目的〕高度に低下した心臓ポンプ機能を長期間安全に代行し得る補助人工心臓(VAD)システムを開発し, 動物実験で評価を行ない, 乳幼児, 小児を含む急性高度心不全患者に適用して救命及び社会復帰を計る事が究極の目的である. 本研究では誰もが安全且つ効果的に臨床応用し得るように, 1)臨床に即した高度両心不全モデルの病態に応じた適正な循環制御法の確立と, 不全心回復メカニズムの解明, 2)VAD施行中の非観血的心拍出量測定法の開発, 及び3)乳児, 小児用で臨床使用に耐えるVADの開発を行なった. 一方, 適用病態, 適用基準及び適用手順を確立し, 臨床治験を行ない, より安全で有効的なVADシステムの完成と, VAD適用法を確立した. 「研究成果」1)高度両心不全モデルによる適正な循環制御法の確立と不全心回復メカニズムの解明:心筋保護不良による高度両心不全モデルにVADを適用した. 右心不全は多くは3ー5日で回復, 次いで左心が回復した. 循環制御と高度心不全からの回復は, 初期の左室負荷の軽減により, 損傷心筋の過伸展と奇異運動が防止され, 次いで除々なる左室負荷の増加が, 残存心筋を肥大させ, 心拍数の増加, 左房圧の上昇, 左室容積の拡大が心臓全体としての代償能力を獲得せしめる事を見出した. 2)非観血的心拍出量の量定法の開発:VADの補助量と動脈圧波形から心拍出量を算出する方法を検討し, 3種類の算出式を開発した. これらの算出式を循環模擬回路と動物実験で検討を続けている. 動物実験で血流量の増減に対する対応, 絶対値の正確さ, どの計算式が最も近似であるかを確認しつつある. 3)乳幼児, 小児用VADの開発:容量が夫々20,40mLの乳幼児用, 小児用VADを試作し, 子ヤギを用いて安全性の確認, 先天性心疾患における心不全の病態に対する治療効果の検討を行った. 成人用と同様抗血栓性, 耐久性に優れていることを確認した. 4)臨床応用:現在までに3ー73歳の急性重症心不全患者に適用し, 9例の心不全に回復させ3例を退院せしめた.
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