研究概要 |
本年度は脳原発性悪性リンパ腫8例を対象にリンパ球surface markerの検討を新鮮組織を用いておこなった。B cell markerとしては各種免疫グロブリン(Ig),BA-1,Leu-12,HLA-DRを、T cell marKerとしては、OKT-11(E rosette receptor),Leu-1を、monocyte markerとしてはOKM-1をそれぞれ免疫組織学的手法を用いて検索した。その結果、Igは8例中7例に検出され、そのうち4例ではlight chainに関するmonoclonalityが明瞭に、また3例では不明瞭に認められた。1例では検出されなかった。他のB cell markerであるBA-1,Leu-12,HLA-DRはそれぞれ4例、4例5例で陽性となり、この3抗原発現に関するphenotypeは(+,+,+)が1例,(+,-,-)が3例,(-,+,+)が3例,(-,-,+)が1例となった。これらの結果より検索した8例はIg陰性例を含めて全例がB cell lineageに属すること、しかしB cell marker発現に関するheterogeneityのみられることの2点が判明した。T cellおよびmonocyte markerはいずれも陰性であった。 以上の研究結果のうち更に詳細な解析の必要と思われたことはIgに関するmonoclonalityの不明瞭な例や、それの検出されない例の存在する点であった。この点を明確にする目的で目下免疫グロブリン遺伝子再構成に関する検索を進めている。
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