実験装置:(1)超音波パルサー、レシーバー(2)受信波にゲートをかけゲート内波形を出力するゲート回路、ピークデテクター(3)高速A/D変換するウエブメモリー及び受信波形を処理・解析するパソコン。実験1油膜で薄膜層を作成し厚さ0.5〜1.0mmの厚さゲージを用い変化させ、5MHzのプローブにて超音波反射率を測定し理論曲線と比較した。FFTケプストラム法から油膜厚さを算出し、厚さゲージの厚さを定測値と比較した。実験2肉厚さ、伸縮性のないアクリル容器に生食水を満たし摘出硬膜をアクリル板内面に密着するよう張り5MHzデイレイ材付きプローブをアクリル板上に固定した。容器に100〜1000mm【H_2】Oの圧さかけ圧力計に計測すると同時にアクリル板と摘出硬膜との境界面からの反射波にゲートをかけ、ピークデテクターによりそのゲート内波形の最大値をとらえ、反射波形のピーク値の連続的変化をみた。このような基礎実験にたって実験に雑種成大を用い実験2の如くピーク値の連続的変化を記録した。この際には心電図R波より任意の時間遅らせ、トリガーを発信し装置全体を起動させた。実験1では反射率の測定値は理論曲線上に一致した。実験2では加圧によりピーク値は変動しエコー振幅は水圧変化幅に近似した。動物実験における応用では超音波エコー振幅は頭蓋内圧波形に同期して変化しその振幅も両者近似した。しかし反射率のピーク値の変化がどの部位での反射の反射率変化を及映しているか同定はできていない。FFTケプストラム法を用いて反射波形を分析し硬膜・クモ膜下腔の同定と各々の厚さ測定から頭蓋内圧の定量的評価を試みた。その結果薄膜層による反射率の変化及びFFTケプストラム法の使用により頭蓋骨内面近接領域の変化を頭蓋骨上からとらえ得ること、そしてその変化が頭蓋内圧の変化を関連性を有することがわかったのが現段階である。
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