研究課題/領域番号 |
61480312
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
松角 康彦 熊本大学, 学長 (30037337)
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研究分担者 |
河内 正人 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (70178218)
三浦 正毅 熊本大学, 医学部, 助手 (00192352)
倉津 純一 熊本大学, 医学部, 講師 (20145296)
植村 正三郎 熊本大学, 医学部, 助教授 (00128258)
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キーワード | 脳腫瘍転移 / 髄液腔 / シアル酸 / ACNU |
研究概要 |
1)脳腫瘍の悪性度及び播種・転移の診断について:脳腫瘍患者の髄液中シアル酸値を指標として、とくに悪性度との相関、および髄液腔内播種症例における治療による変化について検討した。髄芽種・膠芽種等の悪性腫瘍群を1群、髄膜種・聴神経腫瘍など良性腫瘍群を2群、非腫瘍性疾患群を3群として、採取した核群患者脳脊髄液についてシアル酸UVキットを用いて、酵素抗体法にて測定した。その結果、1群5、26±2、39mg/dl、2群1、82±1、61mg/dl、3群1、64±1、61mg/dlで1群では有意の上昇がみられた。また髄液腔内播腫症例では治療後シアル酸値の減少を認めた。かくして髄液腔内シアル酸値測定は脳腫瘍の悪性度の診断に有用であり、また髄液腔内播種・転移の各種治療効果判定にも有用であると考えられた。 2)脳腫瘍の髄液腔内播種・転移の治療に関して:髄液腔内播種・転移の治療のために投与される薬剤にはMTX、Ara-C、NCS等が知られている。治療効果の増強のためにニトロソウレア系抗癌剤であるACNUの髄液腔内投与の基礎実験として雑種成犬3頭を用いて髄液腔内にACNUを投与し、神経毒性および薬物動態について検討した。その結果、神経症状の出現および脳脊髄の病理学的変化は見られず、潅流法によってのみ広くクモ膜下腔内にACNUを分布させる事が可能であり、潅流液容量および投与時間をかえることにより最高濃度および濃度曲線下面積を種々調節することが可能であった。ACNU髄腔内潅流療法は脳腫瘍の髄液腔内播種・転移に対して有効な治療法となり得ることが示唆された。
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