X-線CTのHLG化として敢えて技術的に困難と考えられた後頭蓋窩の脳腫瘍の症例を選んだ。これは既に天幕上の脳腫瘍の症例につき、そのCTのHLG化は経験があり、その限界を知っているからである。予期した如く後頭蓋窩のCTは周囲の骨組織のartifactの為、より複雑となってその実用化はこのままでは無理であると判断された。 MRI画像のHLGは4組の症例につき実施し得た。そのsignalの中で本年度の材料ではinversion recovery画像が三次元観察に最も適切である。つまり、HLGは原画の組合せを同時記録、同時観察する原理に依るもので原画の濃淡のコントラストが適当に著名である必要がある。この条件については次年度の実験にまたねばならない。 X-線CTに比してMRI像は骨組織の像が消去される利点をもつが、これはHLG化するためのlandnarkを失う事になり、共通軸をより厳密にするよう工夫しなければならない事を経験した。X-線CTでは頭蓋の形状に合せてlandmarkを補正する事も技術的に可能であったが、複雑な脳構築を共通軸のlandmark補正に役立てる事は今後の課題であり、むしろ人工的な補助線の導入も工夫されるべきと考える。 本年度の4例の経験では論文にも発表した(来年度発表予定)ようにMRIのHLG化が可能であり、臨床診断により有用な三次元観察のひとつの方法になり得ることを確めた。
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