研究分担者 |
松井 寿夫 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (20173784)
高野 治雄 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (40135017)
山田 均 富山医科薬科大学, 附属病院整形外科, 講師 (80115196)
伊藤 達雄 富山医科薬科大学, 医学部整形外科学, 助教授 (50111422)
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研究概要 |
本研究課題にたいし、初年度交付された3200千円は初期の計画どおり高速液体クロマトグラフー式を購入し、病態に関するカテコラミン分析を開始するとともに、本症の実態、症候、電気生理学解析を行ない現在次ぎの知見成果を得た。1.実態,原因,症候につきある程度明らかになし得た。本症は広く腰痛を主訴とする患者の中に潜在し、その発生頻度は未だに明確になし得ないが、最底1.2%以上は存在し、医原性であるものは92%、ミエログラフィー、腰椎後方手術が主因とみる。本症の74例を集積し、その症候を分析した結果、神経学的、時間的に変転する傾向をもつ腰痛、臀部痛と種々の程度の知覚異常と運動麻痺を伴う下肢痛であり、中に重篤な機能損失の例もみられ、これまでに記載のない知見を集約しつつある。2.局所病態はおよそ3段階に分類でき、急速または緩徐進行性と考えられる。侵害刺激から1年以内に発生(30%、最短1カ月)する早期発生例がある一方、5年以上経過して発生(47%)する晩期発生例の二種があるとみられた。電気生理学的および神経学的分析から多根性障害で馬尾伝速の延長,多相化があり、部分的軸索変性を示唆する。3.局所の組識学的所見は僅か2例であるが著しい結合織の増殖があり、円形細胞侵潤は乏しいが、総じて炎症過程が考えられる。その過程での化学物質の同定につき引きつづき検討中であるが現在のところ次ぎの結果を得た。本症の12例,腰部脊柱管狭窄12例,椎間板ヘルニア22例,正常17例からの髄液L-ノルエピネフリンを高速液体クロマトにより分析した結果、相互に統計的有意差をもって本活性物質の上昇が認められ本症では最も高値を示すことが明らかにされた。本症が知覚異常と疼痛を主体とすることからアドレナジックトランスミッションに変調をきたしている可能性は大きいと考えられた。更に他の生物活性物質の同定を続行し、かつ動物再現実験を実施する。
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