研究概要 |
現在までの研究に結果, 走査型電子顕微鏡(SEM)による尿中剥離細胞の細胞診にためのgrading systemは, 我々の以前の報告(J.Electron Microsc.32;27,1983)通りのもので, 臨床的に応用可能であることが判明した. しかも, この形態学的grading systemに機能的変化の要素を組込むための免疫学的標識法の応用も可能であることが明らかとなった. 反射電子に関しては, 補助金によりGWアニュラー形反射電子検出器(日製産業, タイプ30)を教室所有の走査電子顕微鏡(Sー570)に組込み, イン・レンズ方式で使用できるシステムとした. しかし, 反射電子モードによる細胞内の情報の質は, 尿中剥離細胞という極めてヘテロの細胞集団では凹凸情報に強く左右され, かならずしも有用とは言えなかった. 一方, 金コロイド標識における標識の有無は, 反射電子モードによる像が二次元的であることより, 三次元的画像で判定するT_4標識法に比して簡便であり, 判定の迅速化という点においては極めて優れていた. しかも, 同一視野の反射電子像と二次電子像を同一画面に上下に分割して表示することも容易に可能であり, 反射電子モードで標識細胞のスクリーニングを行い. その細胞の三次元的画像を二次電子モードで観察するという両システムの長所のみを組み合わせて細胞診の判定に利用しうることが明らかとなった. また, 膀胱癌特異モノクロナール抗体による癌抗原の検出も上記システムで実施しうることが実験的に証明されたので, 今後はT_4標識法による剥離上皮細胞における血液型抗原の消失をはじめとする細胞膜の癌性糖鎖不全の検出と金コロイド標識による癌特異抗原の栄時検索を行う予定である.
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