研究概要 |
1.61年度に続き,62年度も症例を増やし男子不姙症を訴える精索静脈瘤患者を対象に検討した結果,統計上有意にDNA分布からみた造精機能障害は患側睾丸に高度であり, 精細管あたりの造精機能(Johnsen′s score)も精索静脈瘤が高度の症例においてもより強い障害が確認された. これらの所見から精索静脈瘤はまず患側睾丸に造精機能の障害を与え, 程度が高度となると対側睾丸にも障害のおよぶ事が考えられる. 2.精索静脈瘤患者の外科的加療時に採取した左精索静脈血中のProstaglandin E_2,E_<2d>は末梢血に対して統計上も有意に高値を示し,Prostaglandin E_2,E_<2d>は良い相関を示した. したがって腎臓より逆流したProstaglandin E_2,E_<2d>は本症の造精機能障害の原因物質の1つとしての可能性があることを示された. 3.(1)精索静脈瘤患者の外科的加療時の睾丸組織血流測定(水素クリアランス式組織血流メーター・UHメーター)上患側と健側の比較により,症例によって大きなバラツキが認められた. (2)精索静脈瘤患者の外科的加療時の睾丸中の温度についても患側においても健側に比較して高温の傾向を認め造精機能障害の一原因と考えられる. 4.モデル動物の作製あたっては, 動物の種,手技の検討を含め現在も継続検討中である.
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