研究概要 |
担癌患者にBRMを投与したり,担癌患者末梢血リンパ球をBRMと共にin vitroで培養したりすると,NK抵抗性の自己腫瘍を含む各種の腫瘍細胞を障害するBRMキラー(BRMK)とでも呼べる細胞障害活性が末梢血リンパ球に出現した. 我々は今年度は主としてこの活性に注目し,腎癌と表在性膀胱癌の免疫療法を行った. 腎癌症例は現在迄に24症例,表在性膀胱腫瘍症例は12症例である. 腎癌患者については診断が確定したら先ず(1)NK活性(2)NK抵抗性のACHN又はRaji癌細胞に対するBRMK活性を測定した. その結果,腎癌患者は(A)高NK,低BRMKタイプと(B)低NK,低BRMKタイプに分れた. 先づ数例の腎癌症例をフォローした結果,末梢血NK活性は担癌状態を反映せず,BRMK活性が良く担癌状態と相関することがわかった為,in vitroでのBRMK誘導能をIFNα及びOK432の各薬剤濃度で24時間培養し,アッセイし,これをBRMK Induction Assayとした. (A)(B)両群の癌患者に対しこのInduction Assayを行い選択されたBRMを現在投与中である. これ迄の投与結果を中間報告すると,IFNαについては,現行投与量の3MЦ/ml〜6MЦ/mlでの末梢血中濃度200Ц/mlでは充分にBRMKを誘導出来ず,その10〜100倍の血中濃度が至適のようである. 従って,全身大量投与又は局所での大量投与を考慮する余地があると考えられた. また,患者によってはIFNαよりもOK432の方が強くBRMKを誘導する例もあり,個体差が認められた. 表在性膀胱腫瘍患者については,BCG膀胱内注入を行ったところ,末梢血にNK抵抗性腫瘍に対するBRMK活性が出現した. (Urological Research〔accepted〕) そして,このエフェクターはNKタイプの前駆細胞がBCGによって活性化され,NKタイプで,より広い標的認識を行うキラー細胞となることが明らかになった.
|