研究課題/領域番号 |
61480351
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森川 肇 神戸大学, 医学部, 講師 (30030894)
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研究分担者 |
上田 康夫 神戸大学, 医学部, 助手 (20168636)
出口 正喜 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (70163938)
丸尾 猛 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (60135811)
足高 善彦 神戸大学, 医学部, 助教授 (10030959)
望月 眞人 神戸大学, 医学部, 教授 (80030922)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | 妊娠高血圧症 / カルシウム調節因子 / 血圧調節ホルモン / 骨密度 / 細胞内Na / ナトリウムポンプ / 潜在性胎児仮死 / パルスドップラー法 |
研究概要 |
1.妊娠高血圧症(P1H)の発症因子:昇圧系ホルモンの動態はP1H発症による2次的なものにすぎないが、レニン活性の動態を妊娠初期と末期における食塩負荷施行時に検討することでP1H発症予知が可能であることを明らかにした。一方降圧性因子であるブラジキニンや心房性Na利尿ペプチドはP1H妊婦においては静的状態で正常妊婦に比べ亢進しているが、食塩負荷やアンギオテンシンII負荷などの昇圧刺激に対しては、これに拮抗するだけの予備力の働かない状態にあることを示した。次にP1H妊婦においては正常妊婦に比し細胞内Na^+濃度は高いことが判明した。これは血管壁の膨化、細胞内Ca^<++>の上昇を通して、血圧を上昇させる因子になると考えられる。さらに、重症型P1H妊婦における細胞内Na^+の濃度の増加はその特有な内分泌環境が細胞膜Naポンプ活性を抑制することに起因することを実験的に示した。2カルシウム代謝:P1H妊婦では正常妊婦に対し血中総Caは変らない値を保つものの、血中Ca^<++>値は低い。これは血中1,25(OH)_2D_3の増加が充分でないため腸管からのCa吸収が不足することによるもので、その結果胎児へのCa供給を確保する必要上、一方では尿中へのCa排泄を極端に低下させ、他方ではPTHの増加、カルシトニンの減少というホルモンバランスが生じることを示した。さらにMD法による検討ではP1H妊婦では正常妊婦に比べ骨密度が減少、すなわち骨吸収のおこっていることを示した。3胎児発育遅延と潜在性胎児仮死:P1H妊婦からの児をレトロスペクティブに検討すると、その出生児体重が該当週数の平均に対し80%以下のものは高率に潜在性胎児仮死が発症していた。このことより、胎内で児体重を予測し、その該当週数の平秦胎児体重に対する比を知ることで潜在性胎児仮死の予知が可能であることを示した。さらに臍帯動脈の血流動態のパルスドップラー法による観察によっても上記予知が可能であることに示した。
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