1.RAST値、年齢、性をマッチさせた鼻アレルギー、気管支喘息、正常者を対象として鼻粘膜ヒスタミン過敏性を比較した。過敏性は鼻アレルギーにおいて有意な亢進を認めた。2.卵白アルブミン感作モルモットの鼻粘膜上で抗原誘発を反覆することにより、鼻粘膜過敏性は急激に亢進した。鼻粘膜内好中球は抗原誘発後3時間で、また好酸球は6ー12時間でピークを示し、48時間後まで高値を維持した。鼻粘膜SRS-Aは15〜60分後に、またLTB_4は60分後に有意なピークを示した。3.非花粉飛散期花粉症症例を対象として抗原誘発後の鼻洗浄液中炎症細胞と化学伝達物質の経時的変化を観察すると、好酸球数は2相性のピークを、また好塩基球数は遅発反応期にピークを示した。SRSーAは2相性のピークを示し、ヒスタミンは即時反応期、LTB_4は遅発反応期にピークを示した。過敏性の亢進は特に遅発反応を示す症例で著明であった。4.鼻アレルギー症例の鼻粘膜上にPAF、LTD_4を反覆投与することにより、それぞれヒスタミン誘発鼻粘膜腫脹および鼻汁量、くしゃみ頻度は有意に増加した。5.鼻過敏症症例におけるメサコリンおよびメサキサミン誘発時にみられる反応の大きさはそれぞれ鼻粘膜ムスカリン受容体数、γアドレナリン受容体数と有意の相関を示した。卵白アルブミン感作モルモットにみられる鼻粘膜ムスカリン受容体数の異常は抗アレルギー薬による過敏症状の改善とともに正常に復した。6.減感作療法により鼻過敏症状の改善を認める症例の鼻粘膜ヒスタミン過敏性は有意な低下を示した。抗原誘発後の鼻洗浄液中炎症細胞の経時的変化のパターンは治療前と同じであるが、細胞数は有意な減少を示した。7.以上より鼻粘膜過敏性の発現には化学伝達物質の直接作用、鼻粘膜受容体数の変化、長期に持続する鼻粘膜炎症細胞浸潤が関与するものと考えられた。
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