研究課題
ネコでの実験により、中耳貯留液が少量の場合、ないしは粘稠度が高い場合は線毛機能により排泄され、大量ないしは粘稠度が低い場合は筋性排泄機能が働くことがわかった。また中耳が陰圧の場合は筋性排泄能が働きにくくなることもわかった。ネコでの実験により、耳管開大筋である口蓋帆張筋の中枢での核の所在は三叉神経核の腹側に存在することがわかった。また耳管開大を補助する口蓋帆挙筋の核は脳幹部疑核付近に点在することがわかった。その結果、中枢性に核を破壊することにより、耳管に侵襲を与えずに耳管機能障害を実験的に作製することができた。従来より臨床応用されていた音響耳管検査に、中耳圧負荷を加えられる装置をつけることにより、耳管の閉鎖障害という病態を客観的にとらえることができるようになった。またこの病態が中耳真珠腫や、口蓋裂例に多くみられることもわかった。滲出性中耳炎、慢性中耳炎、真珠腫などの中耳疾患多数例で耳管機能を調べた結果、共通していずれも耳管の器質的狭窄、閉塞はごく少数であることがわかり、むしろ燕下などの際にみられる能動的な耳管換気能が高率に障害されていることがわかった。さらに滲出性中耳炎では、治癒期でも能動的換気能が悪いことから、この能動的換気能障害が二次的なものでなく一次的なものであることがわかった。
すべて その他
すべて 文献書誌 (7件)