研究課題/領域番号 |
61480361
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
河村 正三 順天堂大学, 医学部, 教授 (00052928)
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研究分担者 |
桜井 淳 順天堂大学, 医学部, 助手 (60187078)
浅井 俊治 順天堂大学, 医学部, 助手 (10177967)
小野 一郎 順天堂大学, 医学部, 講師 (90160902)
加藤 栄一 順天堂大学, 医学部, 講師 (00138322)
芳川 洋 順天堂大学, 医学部, 講師 (50133327)
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キーワード | 聴性誘発反応 / 聴性脳幹反応 / 聴性中間反応 / 頭頂部緩反応 / 40H_2ERP陰影反応 / 老人 / 幼小児 |
研究概要 |
幼少児のABRについてその安定性を特徴について検討を行った。対象は聴力正常と判定された生後1ケ月より5才までの健常乳幼児174耳とし、全側睡眠下でABRを記録した。その結果、成人のABRと比較して各波の出現率に明らかな差は認めなかったが、潜時及び波間潜時の延長を認めた。これらは発育に伴って短縮し、成人値に近づく傾向を認め、末梢側から中枢側へ進行していく聴覚路の発達を反映しているものと思われた。また幼小児のABRの特徴として、連波成分ではII波の後に大きな陰性波を、緩徐波成分では陽性波が2峰性になる例を多く認め、蝸牛神経レベルでの電気生理学的動態との関係が注目される。このII波の後の陰性波及び2峰性の陽性緩徐波の出現率は1才未満では約90%,1才〜5才では約60%であり、幼小児の聴覚路の発達を見る上で今後重要な意義を持つと考えられる ABRの加齢による変化について検討した。対象は聴力正常な65才以上の正常加齢者20名とし、対象群として20才代の若年健常者10名を用いた。その結果、ABR各波の出現率には明らかな差を認めなかったが、加齢者群ではI〜III波間潜時が延長する傾向を認めた。これは加齢により、聴覚路の機能が低下したためと思われ、その変化は末梢側より始まるのではないかと思われた。加齢による変化を知ることにより、一度完成された聴覚路が加齢により徐々にその機能を失っていく過程が確認でき、臨床上非常に重要な意義を持つと思われる。 ABRのVI波、VII波の再現性、安定性について検討した。対象は聴力正常成人でV波までの潜時・各波間潜時が正常なもの164名とした。その結果、VI波の出現率は、I・III・V波の出現率とほぼ同様であったがVII波の出現率は低値であった。また波間潜時については、I-VとI-IV,III-VとIII-VIには標準偏差に大きな差は認められなかったがI-VとI-VII,III-VとIII-VIIには差が見られた。
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