研究概要 |
近年重要性が高まっている副鼻腔鼻内手術を安全かつ確実に行うための方法について検討を行った. 本手術は熟練が必要な難度の高い手術であり, 確実な手術操作の方法, 内視鏡などによる術野の監視方向, 効果的な術後療法, 手術技術の習得方法などに関する問題点を系統的に検討され, 改善される必要がある. 本研究はそれらの問題点の改善を目的として行ったもので, とくに下記の項目について検討し, それぞれの結果を得た. (1)慢性副鼻腔炎に対する鼻内手術後の治癒過程:術前後の経過を克明に追跡できた40症例65側について観察した結果, 43%に治癒が認められ含気状態の副鼻腔が保存し得た. 不変であったものは35%で, それらは必要に応じてCaldwell-Luc手術が適応されるべきものとした. (2)鼻内手術への内視鏡の導入:外径4mm, 視野角80°, 観察方向0°, 30°の硬性内視鏡が最もよい結果を得た. 使用には熟練が必要である. (3)TV記録装置:手術手技の検討, 教育に有用であるが使用に耐えるものは一機種のみであった. (4)手術器械:骨面を被う粘膜を保存するため鋭利な截除鉗子, 深い部分の操作を行うために強弯型の鉗子を開発した. (5)副鼻腔の形態学的情報の把握方法の検討:術前に副鼻腔形態を検討するために多面断層撮影を行い, コンピュータによる三次元再構築を試み, 有用な結果を得た. (6)術後経過を考慮した手術法の検討:治癒遷延を阻止し, 洞交通路の再閉塞を防止する手術法を検討した. 以上を副鼻腔鼻内手術の基本として体系化を試みた.
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