研究課題/領域番号 |
61480363
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
太田 文彦 近畿大学, 医学部, 教授 (50088530)
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研究分担者 |
玉木 克彦 近畿大学, 医学部, 助手 (70179878)
細井 裕司 近畿大学, 医学部, 講師 (80094613)
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キーワード | スピーチの速さと聴取能 / 失語症患者の聴覚的認知能力 / 構音障害患者の聴覚的認知能力 / 補聴器のフィッティング |
研究概要 |
最終年の今年度はとくにスピーチの速さと聴取能について検討した。無意味文の聴取実験の結果、文章単位の正答率は非常に低いが文節単位ではかなりよい。600spmの速さで35%位である。一方有意味の4〜5音節の単語20より成る有意単語表をつくり、それと同じ音節を組みかえて作った無意単語表の聴取試験を行った。SVC付きテープレコーダによりピッチをかえずに速度をかえて、1:1.5、2倍速で再生した。正常人15名の実験では有意単語は3速とも100%正答、無意単語では速くなるほど正答率が低下した。単語単位の採点では2倍速で30〜40%となり、前項の無意文中の有意単語を含む文節単位の正答率とよく符号している点興味深く、さらに検討をすすめることとした。次にコミュニケーション障害の患者の聴覚機能を検討した。失語症患者での検査であるのでいろいろの工夫を加え、トークンテストを応用した。音源としてはメカトークを用いて1/2のスピードとするため各音節ごとに空白を挿入する条件と同じ後母音をいれて母音継続時間を延長する条件とした。結果は後者が明らかに有効であった。またある構音障害患者で、単語レベルでは構音できるのに会話レベルではうまく使えない例について聴覚的認知能力を調べた。無意2音節語の2音を連続的に与える条件と間を1〜2秒あける間欠的条件とした。連続で35%、間欠で93%と著しい差を示し、聴覚的認知にスピーチの速さが大きな意味をもつことを結論した。 コミュニケーションを妨害する因子は数えあげればきりがないが、そのリハビリテーションも重要問題である。補聴器フィッティング例を検討してその語音弁別能、異聴内容の検討が重要であることを示唆した。さらによりよいリハビリテーションのための基礎データの蓄積が肝要であると考え、さらに本研究をつづける予定である。
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