研究概要 |
1.毛様体におけるチトクロームP-450およびミクロゾーム電子伝達系構成成分、薬物代謝酵素活性の定量。 と殺場より得たウシ眼球より毛様体を切り出し、そのミクロゾーム分画におけるこれら構成成分含量、酵素活性を定量した。チトクロームP-450含量は、ミクロゾーム蛋白量mg当り32ピコモル、チトクロームb5含量は52ピコモルNADHチトのロームCレダクターゼ活性、NADPHチトクロームCレダクターゼ活性は、それぞれ268,18ナノモル/分であった。エトキシレゾルフィンを基質とする薬物代謝酵素活性は、ミクロゾーム蛋白質量mg当り2.1ピコモル/分であった。これらの値は、肝臓で測定された値の約4%であり、肺上皮で測定された値とほぼ同程度であった。 2.眼組織におけるチトクロームP-450の誘導。特定組織においてチトクロームP-450が誘導されるかどうかということは、薬物の作用副作用をみる上で重要である。ウサギを実験動物としてフェノバルビタールを誘導薬として免疫組織化学的に眼球各部について誘導現象がおきるかどうか調べた。の結果、体重1kg当り80mgを4日間投与すると、角膜土皮、結膜、毛様体上皮にチトクロームP-450の誘導をみた。更に投与を続けると、角膜上皮、結膜では誘導現象はみられるが、毛様体は変性しチトクロームP-450が検出できなくなった。代って水晶体では検出できた。このことは、水晶体での誘導には毛様体の変性が先行することを示し、眼房水の産生にあたって、薬物代謝酵素が異物除法という生理的な役割を担っていることを示唆していると考えられる。 3.有機溶媒による視覚障害と薬物代謝酵素の関係。ERGを指標として視害障害を検出しようと試みているが、まだ実験系の確立に成功していない。
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