研究課題/領域番号 |
61480371
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
塚原 勇 関西医大, 医学部, その他 (90077579)
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研究分担者 |
西村 哲哉 関西医科大学, 医学部(眼科学), 講師 (30156111)
山岸 和矢 関西医科大学, 医学部(眼科学), 助手 (90174599)
板垣 隆 関西医科大学, 医学部(眼科学), 講師 (30140255)
大熊 紘 関西医科大学, 医学部(眼科学), 講師 (70077775)
宇山 昌延 関西医科大学, 医学部(眼科学), 教授 (30025580)
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キーワード | 脈絡膜新生血管 / 網膜下新生血管 / 新生血管黄斑症 / 老人性円板状黄斑変性症 / レーザー光凝固 / 網膜色素上皮 |
研究概要 |
1.近年高令者の失明原因として増えつつある老人性円板状黄斑変性症の病因及びレーザー光凝固による治療法確立のため、実験研究を行った。 2.サル眼後極部網膜にクリプトンレーザーで強い光凝固を行うと、凝固斑部の脈絡膜血管からBruch膜をとおり網膜下へ新生血管が発生した。新生血管が網膜下へ発展する部を光顕,電顕で観察すると、新生血管には、常に増殖し、遊走した網膜色素上皮細胞を伴っていた。また新生血管は、光凝固後、4ないし8週後に自然退縮したが、このときに、増殖した色素上皮が新生血管を包み囲い、感覚網膜との間に隔壁を作っていた。 3.この2つの観察事実は、網膜色素上皮は脈絡膜新生血管の発展には誘導的に働き、その退縮期には抑制的に働いているのであろうと示唆され、新生血管の発展と退縮に色素上皮が大きい関係をもっていることが示された。 4.網膜色素上皮を選択的に障害することがわかっている薬物を投与して、新生血管がどのような影響をうけるかを実験した。オルニチンの小量を硝子体腔内に注入した。レーザー光凝固の前又は同時に投与し、色素上皮を変性させると新生血管は発生しなかった。ヨード酸ソーダを静注して全身投与した。投与を光凝固の前又は同時に行うと新生血管は発生しなかった。光凝固後、新生血管が発生してから投与すると新生血管は8週を越えて長期間持続し、自然退縮しなかった。このいずれにも色素上皮は変性し増殖していなかった。このことは3でのべた作業仮説が正しそうなことを示す観察成果であった。 5.今後更に薬物障害実験を系統的に行ってこの仮説を実証すると共に、持続する新生血管にレーザー光凝固を行ってその閉塞過程を検索する。
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