研究課題/領域番号 |
61480373
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
山本 肇 医科歯科大, 歯学部, 教授 (60005014)
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研究分担者 |
森尾 郁子 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (50191010)
茅野 照雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (90152884)
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キーワード | レーザ / 歯原性腫瘍 / 実験腫瘍 / 歯胚 / 移植 / 培養 / 細胞工学 |
研究概要 |
研究方法:C3Hマウスの胎仔から取り出した鐘状期の下顎臼歯歯胚を研究対象とした。まず、1.レーザの歯胚に対する生物学的効果があるかをみるために、取り出して培養液中に浸した状態の歯胚全体に、ガラスファイバーで導光したNd:YAGレーザを、出力10W、照射スポット径約2mmの照射条件で5分間照射したのちに、同系マウス腎臓被膜下に移植培養し、経時的に移植歯胚を回収し、非照射歯胚を移植培養した対照群と組織学的に比較検討した(全歯胚照射実験)。次に、2.同時期の歯胚をコラゲナーゼで処理して、上皮成分(エナメル器)と間葉成分(歯乳頭)とに分離し、それぞれに同条件のレーザを照射したのちに、それぞれを非照射の歯乳頭、エナメル器と再構築し、同様の方法で移植培養して非照射再構築歯胚の発生経過と比較検討した(再構築歯胚実験)。 研究成果(新たな知見)および今後の研究の展開に関する計画:1.全歯胚照射実験では、照射歯胚は非照射歯胚に比較して、間葉系組織、特にセメント質や歯槽骨相当の硬組織の形成が有意に多い傾向を示した。しかしながら、腫瘍性とは判定しえず、また、上皮成分の発生経過には有意の差は認められず、対照と同様の歯冠形態を形成した。2.再構築歯胚実験では、照射歯乳頭・非照射エナメル器の再構築歯胚で、セメント質と歯槽骨の過形成が認められたが、照射エナメル器・非照射歯乳頭の再構築歯胚は、対照の非照射再構築歯胚と同様に、ほぼ健常な歯が形成された。これらの所見はレーザが、発生過程にある歯胚の間葉系組織細胞に対して増殖促進効果を有することを示唆している。現在、レーザ・マニブレーターを組込んだ細胞工学用顕微鏡を用いて特定の部位にレーザを照射した歯胚を、同様の方法で移植培養し、歯胚の増殖性変化を経時的に観察し、歯胚中の腫瘍誘導の「芽」を明らかにすべく研究を展開している。
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