研究概要 |
【Na^+】ポンプの阻害物質の精製を、ウサギ骨格筋の熱抽出物を出発として、Dowex(AG50W×4)カチオン交換カラムクロマトグラフィーのくりかえしとSephadexG-20のゲルロ過カラムによって収量約20%約200倍比活性が増加した標品を得た。現在その標品を磁気共鳴によって同定を試みている。上記精製と平行して、本物質の阻害機構を明らかにする手段としてポンプの示す立体構造変化の研究を行なった。その結果ADP感受性リン酸化酵素(【E_1】P)が形成された後に、光散乱強度で区別できる3種類の構造の異なった【E_1】Pが形成され初めて【K^+】感受性リン酸化酵素の出現する事が示された(1)。立体構造変化に関する情報を与えてくれる残基が【Na^+】ポンプα鎖のCys-964に結合している事が示された(2)。又ポンプが形成するリン酸化酵素が機能的にはATPを結合しない事も示された(3)。立体構造変化はポンプのα鎖をトリプシンで切断しても生じる事が明白となった(4)。ポンプに対してATPのアナローグが、ATPと同様にATP加水分解活性を促進するかそれはATPの加水分解によってではなく、【K^+】結合酵素からの【K^+】遊離のステップに関与しているためである事が示された(3,5)構造変化の情報を与えてくれる残基がCys964以外にも存在し、それらの距離か、ポンプによるATP加水分解に伴って変化する事が示された(5)。
|