研究概要 |
フッ素イオンに依存した内因性ポンプ阻害物質の精製とその阻害機構を明きらかにするため、因子の精製とNa^+ポンプの反応機構の研究を詳細に行い以下の結果を得た。 因子は酸に安定で、アルカリ不安定、分子量数百の非ペプチド性物質である。阻害の機構は、Na^+ポンプへのATP結合を阻止する事にある。Na^+ポンプのリン酸化酵素にATPは機能的には結合できない。ポンプの構造変化の検出に有効な蛍光試薬BIPMプローブの結合部位はポンプα鎖のcysー964である。α鎖をトリプシンで切断しても構造変化のシグナルは得られる。 Na^+,K^+ーATPaseがATPのみならず、リン酸化能をもたない、ATP類化物で活性化される。Na^+、K^+-ATPaseのSH基に導入した蛍光プローブ間で、ケイ光エネルギー移動が生じる。そのさい相を異した、ケイ光変化が生じる。これらの結果はNa^+の輸送とそれに続くK^+の輸送に際して、Naポンプ分子の種々のドメインで相をずらした構造変化が生じる事、又この構造変化の現因はNa^+ポンプへのMg^<2+>,Na^+及びATPの結合によって生じるものであり、ATP加水分解が、ポンプをエネルギー化しているのではない事を示している。 以上得られた研究成果を基に、Na^+の輸送とそれに続くK^+の輸送に伴いNa^+ポンプ分子上の数種のケイ光プローブ間距離の動的変化の解明を今後行う。
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