大脳皮質舌運動領(Cx)、舌神経及び下歯槽神経刺激によりネコの舌下神経運動ニューロン(P-Mn)に誘発される過分極電位をしらべた。その結果、ストリキニンで遮断されClイオン注入で逆転するIPSP(S-IPSP)、ピクロトキシンで遮断されるIPSP(GABA-IPSP)の他に、両IPSPs遮断後もCx刺激で過分極電位(L-HP)が誘発されることが分った。S-IPSP及びGABA-IPSPは膜電位に依存し、GABA-IPSPの振幅はストリキニン投与で増大し、L-HPの振幅はセクロトキシン投与で増大した。Cx刺激で誘発された短潜時のEPSPは膜電位に依存することより、このEPSP発生に関与する興奮性シナプスは細胞体に近い場所に存在することを推察した。さらに口蓋の機械的刺激によって誘発される閉口反射時において、オトガイ舌筋および茎突舌筋支配の運動ニューロン(GG-MnおよびSG-Mn)の活動とこれら外舌筋筋活動、顎筋活動を同時記録し、自発性放電を示さないGG-Mnでは閉口反射時に約800ms持続のEPSPsが誘発され、緊張性の自発放電を示すSG-Mnは約600ms間誘発されたIPSPsによって抑制されることを明らかにした。
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