研究課題/領域番号 |
61480396
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
野口 俊英 愛知学院大学, 歯学部・歯周病学教室, 教授 (50014262)
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研究分担者 |
本多 隆保 愛知学院大学, 歯学部・歯周病学教室, 講師 (40192322)
岸 正之 愛知学院大学, 歯学部・歯周病学教室, 講師 (10183295)
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キーワード | 歯周病 / 歯肉縁下プラーク / 歯肉溝滲出液 / 薬剤含有ヒドロキシプロピルセルロースストリップス / スピロヘータ / 運動性稈菌 |
研究概要 |
本年度は、研究の最終年度になるので、今までの研究成果のまとめ、および臨床研究を中心に行った。 臨床研究では、抜去予定の歯を用いて、一方には基剤のみのストリップス、もう一方には徐放性を有する薬剤含有のヒドロキシプロピルセルロースストリップスをポケット内に挿入して、その変化を臨床的、細菌学的および組織学的に検索した。ストリップス挿入前に歯肉縁上のプラークの影響を除くため毎日ブラッシングを行った。その後、歯肉溝滲出液のサンプリングと歯肉縁下の細菌叢をListgarten等の方法に順じて位相差顕微鏡で観察した。さらにポケットの深さ、プロービングデプス、出血指数などの臨床的診査も同時に行った。ストリップス挿入10日目に抜歯して歯肉のバイオプシーを採取し、組織学的な検討も行った。 10日目の臨床所見では、薬剤含有のストリップス挿入部位ではプロビング時の出血が全く認められなかった。それに対して、プラシーボのストリップスを挿入した部位ではプロービングしただけで直ちに出血が認められた。そこでバイオプシーの組織所見を観察してみると、出血のみられたプラシーボ側では著しい炎症性細胞浸潤が上皮あるいは上皮直下に認められた。一方、実験側では炎症性細胞浸潤の程度はごく軽度であった。次に歯肉縁下プラーク中の細菌叢の変動であるが、スピロヘータと運動性桿菌が実験群において完全に抑制されていた。また、歯肉溝滲出液量も実験群において著しく減少していた。 以上、本年度の研究より、歯肉縁下プラーク中の細菌が歯周病の進行に深く関わっていることが明らかにされ、それを薬剤などによって抑制すれば、臨床的にも著しい改善が認められることが判明した。今後はさらに歯肉縁下プラーク中の細菌の中でも特に為害性の強い細菌と特異的に抑制してその反応を観察していくつもりである。
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