研究課題/領域番号 |
61480398
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
吉山 昌宏 徳島大学, 歯学部, 助手 (10201071)
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研究分担者 |
山本 玲子 徳島大学, 歯学部附属病院, 助手 (20200850)
石川 康子 徳島大学, 歯学部, 講師 (40144985)
石田 甫 徳島大学, 歯学部, 教授 (70028364)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | 象牙質 / 象牙質知覚過敏症 / 非コラーゲン性蛋白質 / カルシウム結合能 / オステオネクチン / ホスホホリン / 管状膜様構造物 |
研究概要 |
本研究は、臨床的に象牙質知覚過敏症と診断された歯牙の開放象牙細管と細管内管状膜様構造物について微細形態学的検索を加えるとともに、管状膜様構造物より非コラーゲン性蛋白質を分離精製しその諸性質を明らかにし、さらに非コラーゲン性蛋白質のCa結合能を検索し、象牙細管の石灰化機序の一端を明らかにするために行なわれた。 その結果、象牙質知覚過敏症を併発した楔状欠損歯の露出象牙質面には知覚過敏部が限局して存在し、この部位では多数の象牙細管が開口しており、この開放細管の内側には管状膜様構造物が認められた。これに対して、同一露出面に存在する非知覚過敏部の象牙細管の内部には微小結晶や菱面体結晶が析出しており、同部の象牙細管の大多数が石灰化物質で封鎖されていることが確かめられた。したがって、歯牙象牙質において管状膜様構造物は象牙細管の再石灰化の調節を介して象牙質知覚過敏症の発現に密接に関連していることが明らかにされた。そこでこの管状膜様構造物の生理的役割を追究するために、管状膜様構造物より非コラーゲン性蛋白質を分離精製した結果、オステオネクチンを分離精製することに成功した。さらにオステオネクチンの諸性質を詳細に検索する目的で歯牙象牙質粉末より当該蛋白質を分離精製した結果、歯牙象牙質オステオネクチンは他の硬組織に存在するものに比べて高度にリン酸化された分子量23Kダルトンのシアル酸含有蛋白質であり、高いカルシウム結合能を有することが明らかになった。 以上の結果から、象牙質知覚過敏症の発現と密接に関連している管状膜様構造物に非コラーゲン性リン含有カルシウム結合蛋白質であるオステオネクチンが局在しており、象牙細管内部の再石灰化に重要な役割を果していることを明らかにすることができた。
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