研究概要 |
歯槽骨欠損部へ骨移植を行った際の移植骨の機能ならびに歯槽骨欠損部の治癒経過を検索する目的で, 新鮮自家腸骨および凍結乾燥自家腸骨を用いてその経日的変化を検索した. 1.光学顕微鏡所見としては, 1)手術直後では, 歯槽骨欠損部内に移植骨片は緊密に填塞され, 凍結乾燥骨片には強く萎縮した骨細胞が認められた. 2)術後3日では, 移植した両骨片ともに骨細胞は変性が進み骨小腔は空洞化を呈していた. 3)術後5日では, 新鮮自家骨片周囲に多核の破骨細胞様細胞が認められ, 凍結乾燥骨片周囲には大食細胞様細胞が認められた. 4)術後12日では, , 両骨片周囲に骨芽細胞が付着し, 新生骨の添加を生じていた. 5)術後3週では, 両骨片ともに新生骨内に取り込まれ, 歯槽骨表面には1層の再生白亜質層が認められた. 6)術後6週では新生骨表面には歯根膜線維の埋入が認められ, 歯根表面には厚みを増した再生白亜質層が観察され, 歯根膜線維の埋入が認められた. 2. 電子顕微鏡所見としては, 1)手術直後では, 両骨片ともに骨細胞に変性が認められた. 2)術後3日では, 両骨片周囲には大食細胞が多数出現して, 小型の骨片を取り込んでいた. 3)術後5日では, 新鮮自家骨片は大食細胞様細胞および破骨細胞様細胞による小型骨片の吸収を生じ, 凍結乾燥骨片では大食細胞様細胞による小型骨片の吸収が活発であった. 4)術後12日では, 歯槽骨切除端部より離れた位置に存在する新鮮自家骨片には多核でruffled borderの発達した破骨細胞による吸収が認められ, 凍結乾燥骨片では大食細胞様細胞がcleer zoneを形成して骨片と接し活発な吸収を行っていた. 5)術後3週では, 両骨片ともに歯槽骨切除端部に添加した新生骨基質内に取り込まれ新生骨基質を形成していた. 6)術後6週では, 歯槽骨切除端部周囲の骨芽細胞の細胞間隙は広がり, 発達したコラーゲン線維が新生骨基質内に進入していた.
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