研究概要 |
1.目的:加齢に対応した総義歯補綴のありかたの検討を目的として,加齢にともなう粘膜の変代を検討するために,圧感覚の変代,圧負担能の変代,厚径の変化および物理的性状の変代の調査を行なッている. 62年度は探触子の形態についての検討および顎粘膜の緊張度の検討を行なった. 2.実験方法:(1)探触子の形態について:改良した探触子が有歯顎者の口蓋に設定した計測点に正確に設定できるかを検討した. (2)顎粘膜の緊張度について:有歯顎者の口蓋部に正中線と第二小飼臼歯および第二大臼歯のそれぞれの距離を三分割する新たな6点の計測部位を設定し,改良を加えていた粘膜の変位の計測装置を応用して粘膜の緊張度の一つの目安として100g荷重除去後の粘膜の状態を観察した. 3.成績および考察:(1)探触子の形態について:61年度の調査で探触子が正確に設定できない計測部位があったが,探触子の機構を変更できなかったので探触子と粘膜との距離を1mm程度調節し設定を正確にした. (2)顎粘膜の緊指度について:荷重除去後の歯牙側の計測部位における変位量は第二小臼歯部,第一大臼歯部,第二大臼歯部はそれぞれ400μ,726μ,350μであった. 粘膜がもとにもどるまでに必要な時間はそれぞれ77sec,102sec,390secであった. 正中部では変位量は1117μ,990μ,983μ,粘膜がもとにもどるまでに必要な時間は37sec,127sec,57secであった. 粘膜の厚径が最も大きい部位では粘膜がもどるまでに必要な時間は最も少なく,粘膜の厚径が最も小さい部位では,粘膜がもとにもどるまでに必要な時間は最も多かったが,厚径が中等度の部位では粘膜がもとにもどるまでに必要な時間は様々であった. その理由については超音波診断装置による計測結果ともあわせ次年度以降の研究課題とする. また顎粘膜の緊張度の検討結果については本年度の東京歯科大学学会において発表する予定である.
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