研究課題/領域番号 |
61480415
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
谷岡 博昭 愛媛大学, 医学部, 教授 (10028748)
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研究分担者 |
浜川 裕之 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (20127905)
長門 俊一 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (80084284)
橋本 温 愛媛大学, 医学部, 助教授 (30108831)
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キーワード | 唾液腺 / 粘表皮腫 / 筋上皮細胞 / NBD-phallacidin / アクチンフィラメント |
研究概要 |
唾液腺粘表皮腫内に存在する3種類の腫瘍構成細胞の相互関係を明確にすることを目的として、口蓋小唾液腺由来と考えられる同腫瘍をヌードマウス皮下に継代移植した。生着率は100%であり、継代腫瘍は良くその組織型を保持していた。原発腫瘍は粘液産生細胞に富む高分化型粘表皮腫であったが、移植時及び継代5代目の腫瘍は扁平上皮様細胞、中間型細胞を主体とし、粘液成分を有する中間型細胞や空胞変性細胞を認めた。電顕的にも、中間型細胞としてリボゾームに富む細胞、ミトコンドリアに富む細胞、漿液性顆粒を有する細胞等を確認した。加えて、本継代腫瘍中の粘液産生細胞には多くのデスモゾームとトノフィラメント束が存在することを確認した。我々はこの細胞を粘液産生細胞と扁平上皮様細胞の移行像と考え、光顕所見と合わせて粘液産生細胞は扁平上皮様細胞や中間型細胞から分化、化生する可能性を指摘し得た。 唾液腺筋上皮細胞の三次元構造および発生分化過程を説明する目的で胎生18日から生後60日にいたるラット舌下腺をNBD-phallacidinを用いて蛍光顕微鏡下に観察した。NBD-phallacidin法は筋上皮細胞の機能的成熟度を表わす指標となり得ることを明らかにすると共に、筋上皮細胞の発生分化過程における三次元構造レベルでの形態変化について以下の所見を得た。 生後10日(出生時)に、未熟な筋上皮細胞と思われる扁平な細胞が終末部辺縁に初めて出現した。その後この細胞は、蛍光の強さを増すと共に突起を形成し、生後3、4日頃には蛍光陽性部の束状構造上への限局化すなわちactin filamentの集束化が認められた。生後10日には、集束化はさらに著明となり、その後もatin filamentの発達は続き、生後60日にいたって成長成熟を完了した。
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