研究課題/領域番号 |
61480417
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
祖父江 鎮雄 阪大, 歯学部, 教授 (60029973)
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研究分担者 |
森崎 市治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (30116115)
大嶋 隆 大阪大学, 歯学部, 助教授 (80116003)
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キーワード | エナメル質の成熟 / 赤外分折 / トレーセーリエレメント / 結晶性 |
研究概要 |
本年度は、エナメル質の成熟過程を牛下顎切歯を用いて構成成分の変化の面から検討した。未萌出及び萌出牛下顎切歯を、歯冠1/2まで形成されたものを(A)、萌出直後のものを(E)として、その間の発育段階を細分し、5段階に分類した。抜去後直ちに水洗、乾燥後エナメル質のみを取り出し、メノウ乳鉢を用いて350meshの粉末試料とした。各試料を化学分析し、Caは原子吸光分光分析法、Pはリン・モリブデン酸法,Fはフッ素イオン電極法により定量した。【Co_2】はConwayの機量拡散分析法に準じて定量した。さらに示差、熱分析(TG-DTA)、赤外分光光度分析(ER)を行い検討した。その結果成熟が進むに従ってCa、Pは上昇し、【CO_2】、Fは減少する傾向が認められた。結晶性については、C軸方向では石灰化初期より一定であったが、a軸方向では歯冠が完成された段階では今なおわずかな結晶性の向上の余地が認められ、歯根が1/3程度形成された頃に一定となった。赤外分光光度分析において歯冠1/2程度形成された段階では認められなかったアパタイト特有の代基のピータが歯冠の完成された頃からわずかに出現しはじめた。示差熱分析により定量変化率を求めたところ、幼若な時期では約20%であった有機質成分が、歯根が1/3形成される頃には約5%となり、結晶のb軸方向の格子定数が一定となる時期とほぼ一致していた。また一本の局所的な差をみると幼若な段階では歯頚部の方が切端部に近い方より有機成分の量が多く、成熟するに従い減少し、萌出直後では、切端部とほぼ等しくなった。 ついで同エナメル質の薄切研度切片を作成し、顕微X線法、X線マイクロアナライザー等を駆使し、歯冠の局所的成熟過程を検討し、さらに、新しい歯質成熟促進効果を有する材料の開発に努力している。
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