研究概要 |
成人歯科保健管理システムの開発に関する基礎情報を得るため、先ず歯周疾患に焦点を当て、CPITN法及び唾液潜血試験法(サリバスター)の有用性に関する検討に着手している。本年度は前年度に続き海上自衛隊第四航空軍隊員808名の調査を実施したので、得られた知見と問題点を前年度までの結果との比較において要約する。 1.本群における歯周疾患の処置ニーズの状況をみると、処置を必要としない者は僅かに3.2%で、口腔衛生の改善・指導を要する者97%,歯石除去を要する者81.4%,複雑処置を要する者7.3%であり、また罹患内容の分析結果からしても、本群は前年度の離島分遺隊群に比べて、中程度の罹患状態を有する者が高率を占める集団であった。そこでこれらの処置に要する作業量を時間として試算したところ、1人平均口腔衛生の改善・指導に約40分,歯石除去に約53分,複雑処置に約4.7分が必要であり、歯科衛生士によっても行ないうる作業量の比重が高いことが示めされた。これらの知見からも集団管理におけるCPITNの有用性が再確認できたといえよう。 2.サリバスターに関するスクリーニングテストとしての特異度・敏感度は、複雑処置を要する者について十十以上を陽性とすると、本群ではそれぞれ59.8%,59.3%で、離島分遺隊群はそれぞれ86.8%,40.5%であった。すなわち、対象集団の罹患状態またはスクリーニング設定水準の差によってかなり変動がみられるため、本法の有用性については、現在基礎的問題を検討している。 3.CPITNについては、今後の適用範囲の拡大化を考えると、基準内容を更に詳しく設定する必要があるため、改良点を加味した基準をもとに、新たに約400名の集団についての調査を実施し、現在その分析・検討をおこなっている。
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