研究概要 |
本研耕は歯周疾患を中心とした成人歯科保健管理システムの確立を最終目標としており, 前年度までに, 唾液潜血測定法及びCPITN法の有用性について検討し, さらに歯周疾患管理のためのman-powerの試算をおこなってきた. これらの結果は逐次関連学会で報告, 発表を続けている. 本年度は, 前年度に引続いて, 歯周疾患管理プログラムの立案基礎となる介入処置の選択, その効果, 及び必要処置時間を検討したので, その結果を要約する. (1)先ず海上自衛隊海洋観測鑑乗員52名を対象として実施した厳密な処置プログラムの結果について述べる. 本プログラムの概要は次の通りである. 〈1〉口腔診査→〈2〉口腔衛生指導(OHE):ブラッシング指導, 教育用VTRの放映, 症状説明パンフレット及び教育用小冊子の配布, ブラッシングタイムの設定など→〈3〉再診査→〈4〉歯石除去(SC)→〈5〉再々診査. この結果ポケット歯数は有意に減少し, 改善率はOHE後39.6%, SC後64.0%, またOHE後からSC後では40.4%であった. 同時に出血歯数においても有意な改善がみられ, 改善率はOHE後62.5%, SC後82.4%, OHE後からSC後では52.9%であった. すなわち口腔衛生指導のみによってもかなり歯周疾患を改善しうることが明らかとなり, 管理プログラムの設定に有意義な根拠を得ることができた. なお1人平均必要時間はOHE約60分, SC約30分であった. (2)上記の集団はいわば特殊集団でもあるので, 一方では, 一般事業所従業員を対象とした処置効果の評価研究を実施した. 本研究の概要は, 〈1〉約700名に対するスクリーニング診査→〈2〉約230名を選定し対象とした処置プログラム(口腔衛生指導, 歯石除去を含む)の実施→〈3〉再診査である. 本研究は, 本年1月に1年間コースを終え, 現在集計分析中である.
|