研究概要 |
心筋梗塞好発系(MI系)WHHL rabbitは,選抜交配によって61年度105匹,62年度135匹の合計235匹生産した. このうちの58匹を剖検し,病理組織検査等のすべての検査が終了したのは47匹であった. 内訳は7ー9月齢19匹,10ー20月齢28匹であった. 世代別ではF.ナ_<1.ニ>が19匹,F.ナ_<2.ニ>が18匹,F.ナ_<3.ニ>が10匹であった. 選抜交配による育種効果について, (1)MI系の世代間での成績を比較した結果,冠状動脈に発生した粥状硬化病変面積(管腔狭窄率)は,F.ナ_<1.ニ>では平均29.6%であったが,F.ナ_<3.ニ>では42.2%に拡大した. また75%以上の高度の狭窄病変の発生率はF.ナ_<1.ニ>では14.7%であったが,F.ナ_<3.ニ>では28%となった. さらに75%以上の狭窄病変が複数技に発生した率は,F.ナ_<1.ニ>では15.8%であったが,F.ナ_<3.ニ>では40.0%となった. 今後F.ナ_<3.ニ>,4の例数の増加によって,育種効果がより明確になると考えている. (2)選抜交配を行わなかったNon MI系を同期間に68匹剖検した. これらの冠状動脈病変と,MI系47匹の病変について比較した(剖検月齢の構成はほぼ類似した. )75%以上の狭窄病変の発生率は,Non MI系では9.1%であり,MI系では18.7%であった. また75%以上の病変が複数の冠状枝に発生した率はNon MI系で11.7%,MI系で25.0%であり,MI系はNon MI系に比較していずれも有意に高率な発生率となった. 冠状動脈の狭窄病変の拡大という面での育種効果は明らかに示された. このようにMI系は,心筋梗塞の発生に最も重要な条件の1つである冠状動脈の高度な狭窄が増加しているので,心筋梗塞の研究に最も有用な動脈となると確信している.
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