研究概要 |
1.前年度に実施した男26名, 女53名の「精神の健康度」「ソーシャルサポート」「セルフケア行動」に関するそれぞれの調査票のコーディングを終了し, パーソナルコンピュターを用いて集計を行った. 調査票不備のため, 最終的に女2名を除外し, 男26名, 女51名を分析の対象とした. 2.日常生活行動の8領域のうち, 最も重要なものとしては, 仕事をもっている男女は「仕事」, 主婦業の者は「家事」をあげ, 次に男女とも「飲食」をあげている者が多かった. 健康問題と密接に関係しているものとしては, 「睡眠」「飲食」を, 経済的な問題と関係しているものとしては, 「仕事」「レジャー」をあげている者が多かった. この結果から, 8つの領域の関連を検討してみると, 日常生活行動は「仕事」「家事」を中心に, それを支えるものとして「睡眠」「飲食」が考えられて営まれていることが明らかになった. また, 「排泄」「清潔・身だしなみ」は, かなり習慣化されており, 無意識になされていることが多い領域であること, これに対して「レジャー」「社会活動・つきあい」は, 経済的な問題や仕事のしかたなどとの関連で, かなり意識的に制御されている領域であることが明らかになった. 3.女性のなかには, 日常生活行動を家族中心に考えているために, 自分の意向と家族の意向とが混在し, 自分自身のことが自覚できにくい者がいることが明らかになった. これについては"セルフの概念"の文化的な差異の問題として検討中である. 4.本年度は「成人男女のセルフケア行動を測定する用具(調査票)」を作成し, 健康な成人男女のセルフケア行動の基本的データを確立する計画であったが, 「成人のセルフケア行動に関する面接調査」のコーディングと分析に時間を要したため, 調査票の作成と対象者(成人男女400名)の選定作業をするに留まった.
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