研究概要 |
本研究は本道に於ける気候特徴と生活, 運動諸活動と体力・健康に関する実態を広く探り, 特に寒冷下の望ましい運動処方の在り方を実験的に究明することを目的とし, 昨年度(昭和61年度)は20歳代〜50歳代の事務系勤労者についてアンケート調査を行い, 男子では高血圧疾患が高率であり, 本症は特に寒冷曝露で著明に上昇する特徴があり, 本年度は血圧指標を中心として, 軽度, 中等度強度の負荷実験を行った. 実験ははじめに, 常室温下での自転車漕ぎ運動を極めて軽度の強度で5分間行い, ついで原則として中等度強度で, 継時的に10分間行ったものである. 被検者は中年男子勤労者であるが, その中に軽症高血圧者が含まれている. 生理機能測定項目は血圧, 心電図(心拍数), 呼吸, 指尖脈波であるが, 随時, 体温(末梢皮膚温)を併せて記録した. 結果は整理中であるが, 血圧の動態の概要は以下のようであった. 健常者の収縮期圧は運動経過と共に漸増するが, 弛緩期圧は上昇が軽微であるかあるいは運動中むしろ下降もみられた. 軽症高血圧者では健常者に比し, 収縮期圧〓上昇が顕著であったが, 特に弛緩期圧の上昇も大きく, 軽症高血圧著では運動時の循環血液収容能が一段と縮少されることが把握された. そして, 常室温下運動と冷気環境下(13℃)で特にめだった血圧反応特徴はなかったが, この程度の低温では血圧反応に影響を与えるということよりも, 運動時の放熱にむしろ有利に作用することを考えられる. 本実験を基礎に, 次年度は寒冷下の運動と生理反応の検討を進める予定である.
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