研究概要 |
1.血液凝固線溶系の調節因子として機能する高ヒスチジン糖タンパク質(HRG)のcDNAの全塩基配列(2067塩基対)を決定し、507アミノ酸残基からなるHRGの全アミノ酸配列を明らかにした。その結果、HRGはmrltidomain構造を持つ多機能タンパク質であり、分子進化的には、シスタチン(システインプロテアーゼインヒビター)スーパーファミリーに属する新しいタンパク質であることが明らかになった。 2.HRGcDNAをプローブとしてHRG遺伝子を単離し、その構造解析を行った。その結果、HRG遺伝子は約11,000塩基対の大きさで、9つのエクソンと8つのイントロンからなること、また、HRG遺伝子の局在部位は第3染色体であることなどを明らかにした。 3.HRGのヘパリン中和作用について検討し、Zn^<2+>の存在下でその機能が著しく促進されることを見いだした。さらに、その機能ドメイン(ヘパリン結合部位)がシスタチンドメイン1と2からなるNH_<2->末端領域に存在することを明らかにした。 4.ヘパリン依存性の凝固線溶系制御因子の構造と機能について次のような新たな知見を得た。 1)ヘパリン結合能の欠失した異常アンチトロンビンIII『富山』のアミノ酸置換部位のCys^-47は血中に遊離のシステインと混合ジスルフィド結合を形成している。 2)ヘパリンコファクターIIのトロンビン阻害におけるヘパリンやデルマタン硫酸は、トロンビンとの結合がその補助因子機能発現に重要である。 3)プロテインCインヒビターの補助因子としての硫酸化多糖は、硫酸基含酸が最高の補助因子効果を示した。
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