研究課題/領域番号 |
61480460
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
徳重 正信 京大, 理学部, 助教授 (20025266)
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研究分担者 |
西野 徳三 京都大学, 理学部, 助手 (90005827)
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キーワード | 酵素機能発現機構 / 酵素の機能変換 / 遺伝子操作 / 酵素の一次構造と活性部位構造 / シッフ塩基 / 脱アミノ酵素 / アスパルターゼ / トリプトファナーゼ |
研究概要 |
1.シッフ塩基非依存性酵素としてのアスパルターゼに関する研究成果。 (1)一次構造に関する比較生化学的解折:大腸菌とシュードモナス菌のアスパルターゼについては、遺伝子クローニングと一次構造決定を達成した。これら両酵素と一次構造上の相同性を有する蛋白質をコンピューター解析により検索したところ、フマラーゼやアルギニノコハク酸リアーゼなど、類似の反応を触媒する数種の酵素との間に高い相同性が見出された。 (2)活性発現に関与するアミノ酸残基の検索:フマルアルデヒド酸(FAA)を用いた化学修飾により、大腸菌のアスパルターゼが擬一次的に失活することを見出し、失活がサブユニット当たり1個のSH基の修飾によるものであるという知見を得た。現在、siteーdirected mutagenesisによってシステインー430をトリプトファンに変換する実験が進行中である。一方、シユードモナス菌の本酵素はFAAによって失活せず、両酵素の活性部位の構造が異なっている可能性が示唆された。 2.シッフ塩基依存性酵素としてのトリプトファナーゼに関する研究成果大腸菌のトリプトファナーゼは、活性発現に【K^+】あるいはN【H(^+-4)】などの一価カチオンを要求するが、酵素活性発現に対するこれらのカチオンの役割を詳細に検討した。その結果、補酵素であるピリドキサルリン酸(PLP)とアポ酵素の結合には温度が関係し、生成したホロ酵素の活性化と安定化には一価カチオンが関与することを明らかにした。さらに、一価カチオンの効果発現にSH基が関係していることを示し、このSH基の一次構造上の位置を螢光プローブを用いて検索したところ、システインー298が活性発現に必須のアミノ酸残基として同定された。現在、種々の物理化学的測定やHPLC分析などを駆使して、本酵素の高次構造に及ぼす一価カチオンの影響をさらに詳しく検討している。
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