研究概要 |
トリpancreatic polypeptideは36残基からなり、主にポリプロリン【II】型ヘリックスとα-ヘリックスの2つの部分によって構成されている。このpancreatic polypeptide、及びその構成フラグメントの溶液中での構造の安定性について研究を行い、以下の新たな知見を得た。 1.ニワトリ膵臓から精製したpancreatic polypetideを用いて、塩酸グアニジンによる変性及び様々なpHにおける熱変性の実験を行った。その結果、pancreatic polypeptideは水中における変性の自由エネルギー変化は4Kcal/molであり、変性に際して1個のカルボキシル基が関与していることが明らかになった。 2.Pancreatic polypeptideの構成フラグメントP【P_(1-9)】(ポリプロリン【II】型相当部分),P【P_(10-36)】(α-ヘリックス相当部分)をそれぞれ固相法によって化学合成した。逆相高速液体クロマトグラフィーによって精製した各々のフラグメントの溶液中での構造を円二色性によって調べると、P【P_(1-9)】は、本来のポリプロリン【II】型ヘリックスの構造を形成していなかったが、P【P_(10-36)】は単独でさえもα-ヘリックスを形成しており、10μmol/l,pH5,5℃の条件でもっとも安定であった。3.P【P_(1-9)】をP【P_(10-36)】フラグメントと共存させた場合でも、P【P_(1-9)】の本来のポリプロリン【II】型ヘリックスの構造は形成されなかった。
|