研究課題/領域番号 |
61480461
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
濱口 浩三 大阪大学, 理学部, 教授 (50001748)
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研究分担者 |
河田 康志 大阪大学, 理学部, 教務職員 (40177697)
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キーワード | pancreatic polypeptide / 構造形成 / 合成ペプチドフラグメント / αーヘリックス / ポリプロリンII型ヘリックス / ヘリックスー電荷相互作用 |
研究概要 |
トリpancreatic polypeptideは36個のアミノ酸残基からなり、その構造形成にはαーヘリックス部分(14〜32残基)が重要である。我々は昨年度までの研究により、この分子のαーヘリック形成にαーヘリックス部分のN末端領域に存在する負電荷が必要であるとの知見を得た。C末端領域の電荷がαーヘリックの安定性に及ぼす影響についても明らかにするため、C末端領域の電荷の状態が異なるペプチドを作製し、溶液中での構造の安定性について円偏光二色性を用いて調べ、以下の新たな知見を得た。 1.固相法により合成したPP_<13ー36>(pancreatic polypeptideの13番めからC末端残基までのペプチド断片)のN末端をスクシニル化したsuc-PP_<13ー36>がpH4〜7でαーヘリックスを形成したが、suc-PP_<13ー36>のC末端チロシンアミドを酵素的に酸型に変換して得たsuc-PP_<13ー36ーCOOH>(_<ーCOOH>はC末端残基がアミド化されていないことを示す。以下同じ。)は、同条件でαーヘリックスを形成しなかった。 2.インタクトpancreatic polypeptide分子(PP_<1ー36>)のC末端から酵素的にアミド、Tyr、Arg、His、Argを順次減じて得たPP_<1ー36ーCOOH>、PP_<1+35ーCOOH>、PP_<1ー34ーCOOH>、PP_<1ー33ーCOOH>及びPP_<1ー32ーCOOH>について、αーヘリックスの熱安定性をpH9において調べた。いずれの場合もインタクト比べて変性の中点温度が17〜27℃低下することが明らかになった。また、C末端領域の正電荷を完全に無くしてしまったPP_<1ー32ーCOOH>はαーヘリックスを形成しなかった。 以上の実験結果から、pancreatic polypeptideのαーヘリックス形成には、αーヘリックス部分のC末端領域に正電荷が存在することが必要であると示された。また、C末端残基がアミド化されていることがαーヘリックスの安定性に重要な意味をもつことも示された。
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