研究課題/領域番号 |
61480462
|
研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
加藤 久雄 循病セ, その他, 研究員 (80029959)
|
研究分担者 |
大石 幸子 北里大学, 薬学部, 教授 (70050416)
松田 武久 国立循環器病センター, 研究所人工臓器部, 室長 (60142189)
|
キーワード | 血液凝固 / 開始反応 / キニン / 線溶系 / 接触反応 |
研究概要 |
内因系血液凝固の開始反応は、セリンプロテアーゼ前駆体である【XII】因子が、負電荷高分子物質との接触により、活性型プロテアーゼに変換することによりひき起こされる。この反応は、線溶系およびキニン系の開始反応でもあり、生体の恒常性維持に重要な役割を持っていると考えられているが、その生物学的意義は明らかでない点が多い。本研究の目的は、(1)セリンプロテアーゼ前駆体が、負電荷高分子物質と接触すると、どうして限定分解反応がひき起こされるのか、(2)【XII】因子の活性化反応は、in vivoで、どのような生物学的意義を持っているのか、を明らかにすることにある。本年度は、これらの問題を明らかにする第一歩として、ラット血漿より、【XII】因子、プレカリクレイン、高分子キニノーゲンを精製し、それらを組み合せて、活性化反応を測定する反応系を確立した。一方、正常および高分子キニノーゲン欠損ラットを用い、種々の炎症により血漿中に著るしく増加するキニノーゲン(T-キニノーゲン)を精製し、それらの構造を明らかにすると共に、ラジオイムノアッセイ法を確立した。この高分子キニノーゲン欠損ラットは【XII】因子の活性化反応の生物学的意義を明らかにする上で、極めて有用と考えられるが、我々は、今年度、さらに別のモデル実験動物を発見した。スンクス(ジャコウネズミ)は、最近開発されつつある新しい実験動物で、ラットとは異なり、食虫目に属するが、我々は、スンクスの血漿が、カオリンによって活性化されるが、他の動物と異なり、エラジン酸やサルファチド、多糖硫酸エステルによって活性化されないことを発見した。このことは、スンクス血漿より【XII】因子を部分精製し確認した。このスンクスは、ヒトやウシ、ラットなどの【XII】因子と比較して、異常な性質を示し、【XII】因子の活性化反応の生物学的意義を明らかにする上で、極めて有用であると考えられる。
|