研究概要 |
1.低温シフトによる小胞体ポリソームとタンパク質パターンの変化 テトラヒメナ細胞を無栄養培地に移し,低温シフト処理(39℃→15℃)を施し,ミクロゾームを経時的に分離する. ついで密度勾配遠心法によりポリソームパターンを分析した結果,低温シフト細胞ではモノソームからポリソームへの移行が顕著であった. このポリソーム増加は新たに合成されたmRNAに由来する,あるいはmRNAプールからの動員によるものであることが推察された. なお,同様の方法で得られたミクロゾームのタンパク質の二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって分析したところ,低温処理によって誘導されるタンパク質スポットが3個検出された. しかし,あらかじめシクロヘキシミドを添加しておくと,これらのタンパク質の出現は不明確となることから,これらのタンパク質のいずれかが脂肪酸不飽和化酵素に関連していることが示唆された. アクチノマイシン前処理によっても同様の結果が得られた. 2.不飽和化酵素のcDNAクローニング テトラヒメナ細胞からアラビアゴム法による核を単離し,ついでこの核画分からフェノール法でDNA抽出をおこなった. 一方,ラット肝のステアロイルCoA不飽和化酵素のmRNA(4900ベース)に対する920塩基のcDNAを含むプラスミドpD_s36に由来するpD_<s1>,pD_<s2>を有するベクターpBR322を入手しており,pD_<s1>とpD_<s2>をプローブとしてテトラヒメナゲノムDNAからステアロイルCoA不飽和化酵素のcDNAのクローニングを通常の条件下で予備的に行った.
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