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1988 年度 実績報告書

原爆被爆者にみられる異常クローンの生物学的意義に関する細胞遺伝・分子生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 61480470
研究機関広島大学

研究代表者

鎌田 七男  広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (00034629)

研究分担者 田中 公夫  広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (70116622)
峠 哲哉  広島大学, 医学部附属病院, 講師 (40034657)
キーワード染色体異常 / 原爆被爆者 / 異常クローン / トランスフェクション / 癌遺伝子 / 急性白血病 / 慢性白血病
研究概要

原爆被爆者にみられる染色体異常を有する異常クローンの生物学的意義を追求するため、昨年度は骨髄に20%以上の染色体異常を持ちながら健康に生活している近距離原爆被爆者のDNAを抽出し、in vivo selection assay法によりN-rasの活性化を証明した。本年度は異常クローンが腫瘍発生機序の中でどのような役割を演じているかを追究するため正常ヒト胎盤基底膜と反応する抗体(以下抗BAST抗体)の検出を行った(昭和54年来保存されている血清について)。対象は500m以内26名、500〜999m14名、1km〜2km40名、入市40名、対照48名であった。抗体価4倍以上の陽性者は500m以内で13名(50%)、500〜999m3名(21.4%)、1km〜2km7名(17.5%)、入市7名(17.5%)、対照4名(8.3%)であった。また、500m以内で抗体陽性であった13名のうち7名がその後腫瘍性疾患に罹患しているのが明らかとなった。すなわち、造血器腫瘍3名、乳癌2名、胃癌1名、脊椎腫瘍1名であった。昨年度行った4名のトランスフォーム遺伝子検索のうち2名について本抗体検索を行い、2名とも陽性であった。この結果より、染色体異常を多く持つ近距離被爆者には抗BAST抗体陽性者の頻度が高いこと、爆心地に近い群ほど陽性頻度が高いこと(被爆線量と相関)、抗体陽性者は後になって腫瘍の発生が高頻度にみられること、例数は少ないがトランスフォーム遺伝子と関連がありそうであること、などが明らかとなった。
このように近距離原爆被爆者には染色体異常クローンが存在し、一部には癌遺伝子の活性がみられ、血清学的にも腫瘍性疾患で高頻度にみられる抗BAST抗体が高頻度にみられているなど、染色体異常クローンの生物学的意義が少しづつ明らかとなってきた。今後は染色体異常細胞株を樹立し直接的証明を行いたい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 鎌田七男: 広島医学. 41. 440-444 (1988)

  • [文献書誌] 田中公夫: 広島医学. 41. 486-488 (1988)

  • [文献書誌] KAMADA,N.: J.Radiat.Res.29. 57- (1988)

  • [文献書誌] 鎌田七男: 長崎医会誌. 63. 95-97 (1989)

  • [文献書誌] 田中公夫: 長崎医会誌. 63. 136-140 (1989)

  • [文献書誌] 重田千晴: 長崎医会誌. 63. 257-259 (1989)

  • [文献書誌] KAMADA,N.: "Unusual Occurrences as Clues to Cancer Etiology" Japan Sci.Soc.Press, 304 (1988)

  • [文献書誌] 鎌田七男: "ヒロシマ残留放射能の42年「原爆救援隊の軌跡」" 日本放送出版協会, 241 (1988)

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公開日: 1990-03-19   更新日: 2016-04-21  

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