研究概要 |
ショウジョウバエの優性飛翔不能突然変異のうち第2染色体連関のもの10系統について、ミオシン重鎖突然変異との相対的位置を組換え価を求めることによって判定した。その結果8系統がミオシン重鎖あるいはその近傍に位置することが明らかとなった。しかしこれらについては現在まで、DNAレベルでの大きな変化は見いだされていない。一方アクチン突然変異については今まどのところ合計7系統でDNAレベルでの変化が明らかとなった。さらに試験管内突然変異をおこさせたアクチン遺伝子をP-エレメント形質転換法により、正常個体に注入し、解析した。これら8系統の変異アクチンのうちIfm(3)6と呼ばれる系統では、289番目のイソロイシンがフェニルアラニンに変わっているのが見いだされた。この系統では、2次元電気泳動の結果、比較的変化が少いということがわかっていたので、この変異アクチンを精製し、生化学的,生物物理学的に解析することを試みた。変異アクチンは正常アクチン同様、ハエのアセトンパウダーから低イオン強度水溶液によって抽出される。イオン強度をあげると、正常アクチン同様に超遠心によって沈澱する。しかしイオン強度が余り高くない場合には、正常アクチンほどには沈澱しないことがわかった。この性質を利用して、完全な純化ができるのではないかと考えている。この変異アクチン精製の過程で61年度に購入した高速液体クロマトグラフ(ファルマシア,FPLC)を利用した。
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