• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1987 年度 研究成果報告書概要

原形質流動における周期性発現機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 61480476
研究種目

一般研究(B)

配分区分補助金
研究分野 分子遺伝学・分子生理学
研究機関大阪大学

研究代表者

黒田 清子  大阪大学, 理学部, 助教授 (30028138)

研究期間 (年度) 1986 – 1987
キーワード周期性 / 原形質流動 / アメーバ運動 / 粘菌変形体 / カフェインドロップ / カルシスムーイオン / 収縮-弛緩 / アクトミオシン繊維束
研究概要

諸々の生理現象における周期性は, 生体が示す特性の中で, 特に興味深いものである. 巨大アメーバの一種, Amoeba proteusの運動の制御にCa^<2+>依存のアクチンの燐酸化が重要な役割をしていることを強く示唆する結果が本研究者らによって得られている. そこでアメーバ内のCa^<2+>の存在様式を時間的・空間的にしらべるために, Ca^<2+>-光・蛋白質であるエクオリンをアメーバ内に顕微注射してその全発光量を径時的に測定すると, アメーバ内でCa^<2+>濃度の急激な上昇が数分の間隔で断続的にくり返されていることがわかった. また超高感度ビデオシステムを用いてエクオリンの発光を映像として撮え, Ca^<2+>分布の空間的・時間的変化をビデオ記録し, くわしく解析した. 活発に運動しているアメーバでは, 数分の間隔で強く発光する部位があらわれた. この数分間隔の強い発光は, アメーバの内在的なCa^<2+>濃度の周期性を反映するものである. この発光部位でのCa^<2+>濃度は10^<-5>Mのオーダーであった. Ca^<2+>濃度上昇によるアクチンの燐酸化を介しての細胞質の局所的ゾル化が複雑なアメーバ運動を制御していると考えられる. 真性粘菌Physarumの変形体をカフェインで処理して遊離される原形質滴は中で活発な周期運動を示し, Ca^<2+>が関与していることが知られている. エクオリンによってCa^<2+>の局在をしらべたところ, 活発に運動している滴中では顆粒質後方部位に強い発光がみられた. この部位はゾル化の部位に相当し, 粘菌の場合もCa^<2+>濃度上昇に伴う局所的ゾル化が, 周期運動に関与しているものと考えられる. 粘菌変形体から切り取った小片は, 3-5分の周期で収縮-弛緩をくり返す. 偏光および蛍光顕微鏡による解析から小片内のアクトミオシン繊維束の組立てと分布は収縮周期と同期して変化する. 繊維束は収縮時に形成され弛緩期に解体されるが, アクチンのG-F変換は繊維束の形成・消滅に重要な役割はしていないことが示唆された.

  • 研究成果

    (10件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (10件)

  • [文献書誌] Sonobe, S. & K. Kuroda: Protoplasms. 130. 41-50 (1986)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Sonobe, S. ;S. Takahashi;S. Hatano & K. Kuroda: J. Biol. Chem.261. 14837-14843 (1986)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Ishigami, N. ;K. Kuroda & S. Hatano: J. Cell Biol.105. 381-386 (1987)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Kurda, K. ;Y. Yoshimoto & Y. Hiramoto: Protoplasma. (1988)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 黒田清子: 生体の科学. 39(2). (1988)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Sonobe, S. and K. Kuroda: "Ultrastructural aspects of a glycerinated model of Amoeba proteus." Protoplasma. 130. 41-50 (1986)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Sonobe, S., S. Takahashi, S. Hatano and K. Kuroda: "Phosphorylation of Amoeba G-actin and its effect on actin polymerization." J. Biol. Chem.261. 14837-14843 (1986)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Ishogami, M., K. Kuroda and S. Hatano: "Dynamic aspects of the contractile system in Physarum plasmodium. III. Cyclic contraction-relaxation of the plasmodial fragment in accordance with the generation-degeneration of cytoplasmic actomyosin fibrils." J. Cell Biol.105. 381-386 (1987)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Kuroda, K., Y. Yoshimoto and Y. Hiramoto: "Temporal and spatial localization of Ca2+ in moving Amoeba proteus visualized with aequorin." Protoplasma. (1988)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Yoshimoto, Y., K. Kuroda and Y. Hiramoto: "Visualization of Ca2+ localization in caffeine-treated endoplasmic drops of the Physarum plasmodium."

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

URL: 

公開日: 1989-03-30  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi