線中筋肉蛋白質パラミオシン遺伝子の塩基配列を約8割決定した。まずパラミオシンの全遺伝子を組み込んだラムダファージDNAを調製して、制限酵素Hind【III】で切断、約5kbpの断片を取出した。リガーゼで環状化、超音波処理して300bpー500bpの断片をM13ファージに挿入、常法通り、単鎖DNAを調製して塩基配列決定を行った。塩基配列の自動連結はパソコンを用いて行い、エクソンーイントロン部分は大型計算機を用いて解析した。(イギリスMRC分子生物学研究所ジョン・カーンと共同研究)。5kbp断片の中に全パラミオシン(105KD)の約8割のアミノ酸をコードしている塩基配列がみつかった。このアミノ酸配列は、期待通りα-ヘリックス構造を約束するものであった。また、精製したパラミオシン蛋白質のアミノ酸配列決定で得られた結果と一致した。さらに重要なことは、パラミオシンのアミノ酸配列とミオシン重鎖ロッド部分の配列がよく似ているという結果を得たことでる。これは、パラミオシンの太い線維形成における役割を調べる上でも、筋肉発生の系統を調べる上でも重要な発見であり、早急に残りの部分の配列決定を終え、発表する予定である。
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