研究概要 |
1.結晶化条件の確立:種々の検討の結果、精製の最終段階での分画の際のBrij35濃度は0.21%、結晶化の際のBuffer濃度は0.5〜1.0mMが最適であることが明らかになった。また、結晶化に必要な蛋白濃度を正確に決定するため、ダイヤフロー装置に種々の改良を加えた。その結果、0.8mm程度の結晶が再現性よく得られるようになった。しかし、安定性が十分でなく、長時間のX線照射によって溶解したり、破壊されたりするので、X線回折像は分解能8【A!°】位までしか得られなかった。さらに条件の検討を必要としている。 2.空間群の決定:X線回折像から格子定数と空間群が次のように決定された。a=b=174.5【A!°】,C=282.【A!°】,Aα=β=90°,γ=120°。六方晶系,【P6_2】または【P6_4】。 3.結晶チトクロム酸化酵素の化学組成の決定:アミノ酸分析値から、活性の最小単位(Fe厚子二個当り)に含まれる蛋白質は175000daltonであることが明らかになった。今後、Subunitの分画を行うことを計画している。界面活性剤(Brij35)は25000dalton含まれていた。しかしリン脂質はほとんど含まれていなかった。金属はFe:Cu:Mg:Zn=4:5:2:2の割合で含まれていた。 4.総括:以上の結果を総合すると、この結晶の非対称単位は分子量20万の活性の最小単位と考えられているものの二量体と考えられる。さらにFe:Cu=4:5であることは、二量体当り1本のCuを含むペプチドの存在を示唆している。したがって、この非対称単位を構成するものこそが本来の活性の最小単位であるのかもしれない。
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